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Tagged: 高橋宗正

Photograph

糸をつむぐ

高橋宗正

Price:

5,500円(税込)

発行年: 2020
発行元: VERO
サイズ: 235x190mm
仕 様: 84ページ | 布装ソフトカバー | ミシン綴じ | 限定700部
デザイン: 塚原敬史
高橋宗正は2011年から宮城県山元町にて津波に流された写真を持ち主の元に届ける「思い出サルベージ」プロジェクトに参加しています。また2012年からは、その中でもダメージが酷く廃棄されてしまいそうだった写真を捨ててしまうのではなく、離れた場所にいる人にも見てもらいコミュニケーションを生むことを目的として「Lost & Found project」を立ち上げ、各地で展示を開催してきました。

「糸をつむぐ」は、こうした活動の中で出会ったある友人との車中での何気ない会話の記憶から生まれた作品です。
「水に浮くものを撮ったらいい」「それは具体的にはどんなものを撮ればいいの」「なんとなく思いついただけ」「そのうち撮ってみようかな」
会話のあとは続かず、これらの言葉は一旦は忘れ去られていましたが、ほどなくして彼の自死による別れを経験します。
彼との会話は、膨大な家族写真、記念写真を修復する作業の中で、「写真家として」「作品として」写真を撮ることに疑問を抱いていた時期に交わされました。
  
本作「糸をつむぐ」では、 個人と生活、他者、風景、家族、記録、など、カメラが写し、写真に残されうる多岐にわたる被写体が登場します。8×10インチの大判カメラに撮影の道具が変わったことで、被写体との向き合い方や表現にも変化がありました。被写体を選ぶ作者の視線は、以前よりも写真の持つ記録するという機能が存分に意識されているようです。そして被写体はとても丁寧に作者に見つめられています。
  
「水に浮くものとは結局なんだろうか」と考えながら被写体を探る中で、結婚、出産、子育て、という自身の生活が大きく変わる体験がありました。この体験によって、時間とともに忘却と追憶を繰り返しながら繋がっていく記憶、それと共に写真が未来に残されていくことの普遍的な意味を形にしようと試みています。