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Tagged: 淺井裕介, 星野太, 大山エンリコイサム

Exhibition Catalogue

生成のヴィジュアル ─触発のつらなり

発行年: 2014.11
発行元: タクロウソメヤコンテンポラリーアート
サイズ: 148×210mm
仕 様: 68頁
デザイン: 尾中俊介(Calamari Inc.)
Takuro Someya Contemporary Artにて、2013年に開催されたグループショウ「生成のヴィジュアル ‒ 触発のつらなり」展の記録、論考集として編まれた本書。
参加作家:淺井裕介、大山エンリコ イサム、村山悟郎
論考:
粟田大輔「建築と描線」
星野太「生成と消滅の秩序」
服部浩之「触発と生成の現場」

[アーティストステートメント]
「生成のヴィジュアル‒触発のつらなり」
心や造形、都市あるいは社会といった人の営みは、どのように生まれるのか。あらかじめ設計図が用意され、ほかからカタチ を与えられるのか。そうではなく、みずからの自律した構造やプロセスによって情報やパターンを生成する自己組織的な特性 を持っていると考えてみるとどうでしょうか。たとえば、SNSなどでコミュニケーションのネットワークが自然と形成される さまを思い浮かべてみてみる。あるいは、ストリートアートが都市の風景を刷新していく過程でもいいのではないか。人のあ らゆる活動には、そうした自己組織的な生成を見いだすことができるでしょう。 ペインターもまた、みずからが生みだす色・形あるいは感触などに刺激されながら、新たな要素を産出してゆく自己触発のつ らなりのなかにみずからを巻き込ませて作品世界を出現させています。とくに本展に参加する淺井裕介、大山エンリコイサム、 村山悟郎は、そうした生成のプロセスを制作に積極的に導入しながらヴィジュアルを立ち上げている作家たちです。本展では、 こうした生成の絵画表現に注目します。

淺井、大山、村山はそれぞれ異なるバックグラウンドを持っています。しかし三者を特徴づける共通項として、”描く”という 行為やストローク、そしてモチーフによって単位をつくりだし、不連続に次から次へと反復して、絶えずその単位を生みだし てゆくパターンの増殖性が見て取れます。とりわけ、そのなかで持続する「時間性」の諸相を顧みれば、三者の取り組みを単な るヴィジュアルアートの域に留まらない、より根源的な造形運動の発露として捉える必要が感じられ、これを「生成のヴィジュ アル」としています。淺井から溢れ出るイメージ群や枝状に分岐するドローイング。大山が「クイックターン・ストラクチャー」 と呼ぶ、グラフィティの視覚言語から抽出したパターンとその変奏。そして、村山の織りあげたカンバスと束なるストローク の相互作用による有機的な絵画。これらはみな、支持体を選ばずに固有の造形表現として実現しています。それは自身への絶 え間ない触発、形態の連鎖的産出によって「ペインターの自然」と呼べるようなヴィジュアル・ランゲージを生成する運動とな っています。