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Critique

崇高はいま

バーネット・ニューマン

発行年: 2012.10
発行元: 東京パブリッシングハウス
編・訳: 三松幸雄
仕 様: 108頁
サイズ: 194×124mm
仕 様: 108頁
20世紀アメリカの画家であるバーネット・ニューマン (1905-70) が1948年に雑誌『タイガーズ・アイ』に寄稿したエッセイ。
このエッセイは、生前ニューマンが発表したテクストのなかでもとりわけ有名なものである。ただし、「崇高はいま」の議論の対象となっているのは、 (しばしば「崇高」と形容される) ニューマン自身の絵画ではない。ニューマンはここで、19世紀以降の近代絵画の展開に言及しており、それらが従来の造形性、形式性からの逃避のみに力を注いできたことを批判している。ニューマンによれば、古代ギリシャ以来、西洋の芸術は「美しい」造形性と「崇高な」精神性との葛藤のうちに置かれてきた。近代絵画の歴史は、ルネサンスにおいて隆盛を極める前者の「美」から「崇高」へと移行せんとするものだったが、それらはあくまでも造形の次元における試みにとどまっていたという点で誤りだったとニューマンは言う。彼の言う「崇高」とは、ある絶対的なものを志向する作家の精神性のことなのである。そのうえでニューマンは、同時代 (1940年代当時) のアメリカの一部の画家たちが、そうした西洋の絵画的伝統から解放されつつあるという点を積極的に評価している。
(Webマガジン artscape[Artwords],星野太氏解説より抜粋)