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Tagged: 北井一夫

Photograph

北井一夫作品集3「抵抗 カラー補足版」

北井一夫

発行年: 2015.6
発行元: KAZUO KITAI FOTO INSTITUT
サイズ: 295mm x 295mm
仕 様: カラー13ページ
部 数: 限定151部
デザイン: 石山さつき
その他: サイン・ナンバー入り
私の写真は「抵抗」を撮ったことからはじまった。
写真集「抵抗」は12枚のカラー写真を使いたかったが、経済的理由からモノクロームになってしまった。私は「抵抗」が未完成だという気持ちを持ち続けていた。未完成だった「抵抗」を完成させたくて、この「カラー補足版」を作ることにした。

北井一夫

1964年11月7日、当時20歳だった北井は、アメリカ原子力潜水艦横須賀寄港に反対した全学連の闘争を撮影しました。写真をやめようと決心してから一年以上も高温多湿な場所に放置したモノクロームのフィルムを用いて、その劣化をマチエールに見立てて撮影を敢行したのだと言います。学生たちの社会への反抗の姿は北井自身の写真の秩序への反抗と結びつき、それを写真に定着できるかという実験の好機となりました。被写体はピンボケでカメラも手ブレ、フィルムは粗粒子でザラザラなうえに擦り傷だらけ…模範的な写真とは対照的な出来映えでしたが、それは北井にとって思い通りの良い仕上がり。これをもとに写真集を作ろうと決心し、今度は横須賀基地周辺にある米兵相手のバー街をネガカラーで撮影しました。
本来は、モノクロームで学生たちのデモと機動隊、カラーで横須賀バー街にたむろする米兵たち、と対比を繰り返すページ構成を想定していました。しかし制作費が足らず、結局翌65年に全ページがモノクロームだけの印刷で初めての写真集「抵抗」を自費出版しました。
それから半世紀が経ちました。当時の横須賀基地の街を撮ったネガカラーはいままで一度もプリントされることはありませんでした。2015年の節目にあたり、ようやく本来の色付きの写真集「抵抗 カラー補足版」が完成しました。